相手の手持ちポケモンが全て戦闘不能になったのを確認してから、自分の相棒をモンスターボールに戻す。
 相手と事務的なやりとりだけをして、その場を後にした。

「ありがとう、ミニリュウ」

 相棒にそれだけ語りかけ、ふと前を見ると、幼馴染が立っていた。

「レッド」

 声をかけると、レッドは少しだけ反応を示し、…モンスターボールを取り出した。
 無口なのは相変わらず、戦闘狂なのも相変わらずだ。

「…勝負しようよ」

 珍しく、戦いを仕掛ける前に、レッドが一言だけ発した。
 モンスターボールの中に入っているのは誰なのだろうか、もうバッジは何個手にしたのだろうか、
 そんな質問をさせる暇もなく、レッドはいつも突然現れ、突然勝負を仕掛け、そして突然消えてしまうのだった。
 もちろん、勝利だけを手にして。

「そうだね、レッド」

 でも、いつかは彼を倒してみせる。
 もう1人のライバルと同じ誓いを知らず知らずのうちに胸に立て、笑いながらモンスターボールを取り出した。



   20 地獄の季節 (夢を狩り出す手解きを)